メロディ6月号『真夜中ポスト』

お久しぶりです。
COVID-19自粛も長距離走化してきましたね。非日常が日常化してきた上にゴールが見えないとあって、疲れてきた頃合いかもしれません。

緊急事態宣言が出た前後、私自身はすでにスケジュール管理の失敗から個人的緊急事態に陥っていまして、言われなくても家から一歩も出られないぜな生活になっていました。
毎日黙々と液タブに向かって、買い物はまとめ買いをネットスーパーでして、いつもと変わったことといえば深夜のコンビニにマスクをして行くようになったことくらい。実は世界が私を騙していて、新型コロナなんてどこにも存在しないんじゃないかというくらい、自粛前と変わりばえのない毎日を送ってきましたし、現在形で送っています。
世界の非日常感と自分の日常感のギャップにくらくらしますな。
世界よ、それがマンガ家の生活だ。

この世界的な災厄に、へっぽこマンガ描きは何ができるかな〜…と考えたりもします。
日々の徒然を慰めるために毎日イラストを描いてTwitterにアップ?
いやしかし、そのイラストを描く間にも手元の原稿をしないことには、個人的緊急事態宣言が戒厳令になってしまう。
結局、アーティストの方々の配信を横目で視聴しながら、いつものように原稿に向かい、いつものように猫に仕え、いつものように相方に王将のテイクアウトを養われ、いつものようにまた原稿に向かっています。

「明日、世界が滅びるとも、今日、私は林檎を植える」
この有名な言葉を初めて聞いた時は、そこに込められた希望や覚悟に胸を熱くしたものですが、実際リンゴを植える以外できることは何もないという状況に陥ってみると、この言葉はある種の諦念でもあるんですね。
仏教で言うところの諦念には「迷いを去った境地」という意味もあるそうですが、まあそこまで上等じゃないにしても、投げ出す方の諦めじゃなくて、私が今描いている原稿が誰かの徒然を慰めるかもしれないと飲み込むしかないと言いますか、そういう気持ち。

⎯⎯⎯⎯⎯⎯とまあ、そういういろいろ思うところは置いといて、『真夜中ポスト』の3作目が明日28日発売のメロディ6月号に掲載されます。
前2作と同様、真夜中に現れて届かない手紙を届けてくれるポストのお話です。
今回もかなり個人的な体験と気持ちを込めて描きました。
私にも彼の地に無事を祈る友達がいます。元気でいますように。
きっとあのポストが誰よりも欲しいのは私だ(笑

今日、編集さんと電話でお話をしましたところ、テレワーク期間はさらに伸びたそうです。聞いた話では製版所もテレワークと通勤を工夫しながらお仕事されてるらしいですし、印刷所はもちろん流通や書店はさすがにテレワークというわけにはいかないでしょうし……マンガの出版は本当に、いつもと変わらなさすぎて緊張感ねえとか言ってるマンガ家だけではなく、いろんな現場があってはじめてできてるんだと、こんな時に改めて思い知りますね。

そんなわけで、メロディは決して安いと言える雑誌ではなく、買ってねと言いにくいな〜といつもなら思うところですが、ここはひとつ、ぜひにお買い上げくださいと切にお願い申し上げます。
メロディおもしろいよ!
私のマンガがハズレでも他におもしろいマンガたくさん載ってるから!
書店に行かなくても電子書店でも売ってます! 読んでみて!